とびひ・毛包炎(皮膚の細菌感染)
かき壊しから広がるとびひと、毛穴が赤く腫れる毛包炎の話です。
虫刺されや湿疹をかき壊したところがジクジクして水ぶくれや黄色いかさぶたが次々に広がってきた場合はとびひ(伝染性膿痂疹)、髭を剃ったあとの顔、背中、おしり、太もも、わきなどに毛穴を中心とした赤いぶつぶつや小さな膿ができる場合は毛包炎の可能性があります。どちらも皮膚の細菌感染で、とびひは触った手を介して広がるため患部を覆ってこまめに手を洗い、軽い毛包炎はこすらず清潔にして蒸れを避けると数日で落ち着くことが多く、当院では医師が診察して必要と判断した場合に抗菌薬の塗り薬や飲み薬を処方することがあります。広い範囲に広がっている、硬く大きなしこりのように腫れて強く痛む、発熱や寒気をともなう、赤みが急に広がるという場合は、その日のうちに対面で受診してください。
こんな症状のとき
とびひは、皮膚に細菌が感染して起こる病気です。傷、虫刺され、あせも、湿疹をかき壊したところなど、皮膚のバリアが壊れた場所から細菌が入り込みます。掻いた手で別の場所を触ると、火事の飛び火のように次々に広がるため「とびひ」と呼ばれます。水ぶくれができて破れ、ジクジクした面が広がるタイプと、厚く硬い黄色っぽいかさぶたができて痛みや発熱をともなうタイプがあります。鼻の入り口には細菌がいることがあり、鼻を触る癖がある方では、鼻のまわりから始まることもあります。
毛包炎は、毛を作る毛穴の袋(毛包)に炎症が起きた状態です。毛穴を中心に、赤いぶつぶつや、先端に小さな膿をもったぶつぶつが出て、かゆみや軽い痛みをともなうことがあります。多くは、皮膚にふだんからいる細菌が、髭剃りの小さな傷や、汗と蒸れ、こすれをきっかけに毛穴で増えて起こります。カビ(マラセチア)が関係するタイプもあり、こちらは胸や背中に、かゆみをともなう細かいぶつぶつが多数出るのが特徴です。ニキビと見た目が似ていることもあります。
とびひの治療は、抗菌薬の塗り薬や飲み薬で細菌を抑えることと、患部を清潔に保つことが柱になります。あわせて、もとになっている湿疹や虫刺されのかゆみを抑えないと、またかき壊して広がってしまいます。爪を短く切っておくことも役に立ちます。毛包炎も軽いものは清潔と蒸れの対策で落ち着きますが、炎症が毛穴の奥や周囲へ広がると、赤く硬いしこりのように腫れて強く痛むことがあります(おでき)。この段階になると飲み薬や、膿を出す処置が必要になることがあるため、対面での受診が向いています。
考えられる原因
傷・虫刺され・あせもをかき壊すこと
皮膚のバリアが壊れた場所から細菌が入ります。かゆみが強いほど、かき壊して広がりやすくなります。鼻を触った手で皮膚を掻くことも、感染のきっかけになります。
湿疹・アトピー性皮膚炎
もともと皮膚が荒れていると、細菌が入りやすく、広がりやすい状態になります。
髭剃り・ムダ毛の処理・すり傷
剃刀や毛抜きでできた小さな傷から、細菌が毛穴に入ります。逆剃りや、切れない刃の使用、練習中のすり傷でも起こります。
汗と蒸れ、こすれ
汗をかいたまま過ごす、通気の悪い服や下着でこすれる、長時間座るといった状況で起こりやすくなります。テープを貼った場所の毛穴に炎症が起こることもあります。
カビ(マラセチア)や、体の抵抗力が落ちているとき
胸や背中に、かゆみのある細かいぶつぶつが多数出るタイプは、抗菌薬では良くならず、カビを抑える薬を使います。糖尿病や、免疫を抑える薬を使っている場合は、くり返したり悪化したりしやすくなります。
受診の目安
- かき壊したところがジクジクして、まわりに広がってきた
- 黄色いかさぶたが厚くできている、水ぶくれが次々に新しくできる
- 市販の塗り薬を数日使っても良くならない、数が増えている
- 痛みが強い、硬いしこりのように腫れてきた、同じ場所にくり返している
- 髭剃りのたびに出てしまう
- 胸や背中に、かゆいぶつぶつが広く出ている(カビによるものの可能性があります)
- 仕事や運動で人と肌が触れる機会が多い、アトピー性皮膚炎や糖尿病などがある
対面の受診・救急が必要なサイン
- 発熱や寒気をともなう(その日のうちに受診)
- だるさが強く、水分がとれない(その日のうちに受診)
- 患部のまわりが赤く腫れて熱をもち強く痛む、硬く大きなしこりのように腫れてきた(その日のうちに受診)
- 赤みや腫れが急に広がっている、腕や脚に赤い筋が伸びてきた(その日のうちに受診)
- 顔、特に目のまわりや鼻・口のまわりに広がってきた、大きく腫れてきた(その日のうちに受診)
迷うときは、ためらわずに119番へ通報してください。
オンライン診療でできること
- 始まった場所と広がり方、もとになった傷や湿疹、髭剃りや服装などの状況をうかがうこと。患部の写真は問診票からアップロードできます
- 医師が診察してとびひや毛包炎と判断した場合に、抗菌薬の塗り薬や飲み薬、カビを抑える塗り薬を処方することがあります
- もとになっている湿疹や虫刺されのかゆみに対して、医師が判断して塗り薬やかゆみを抑える飲み薬を処方します
- 患部の洗い方、覆い方、家族にうつさないための注意、髭剃りのしかたや汗の対策をご説明します
- 広い範囲に広がっている場合、発熱がある場合、しこりのように腫れて処置が必要そうな場合に、対面での受診をご案内します
オンライン診療ではできないこと
- 皮膚を直接見て触れて、広がりや深さ、しこりの硬さを確かめること。写真だけでは判断が難しい場合は、対面の受診をおすすめします
- 患部から細菌やカビを取って、種類や効く抗菌薬を調べる検査
- 膿がたまっている場合に、切開して出す処置
- 点滴や入院が必要なほど広がっている場合の治療
- 医療脱毛など、自費の治療。当院は保険診療のみです
受診の流れ
- 1
日時を選ぶ
空いている診察の日時から選びます。
- 2
症状を書く
症状を書き(選ぶこともできます)、お薬の受け取り方を選びます。
- 3
ビデオで診察
予約した時間に、5〜10分が目安です。
- 4
お薬を受け取る
処方せんは診察後すぐに電子で発行されます。お近くの薬局か、自宅・ローソンで受け取れます。
よくある質問
- お風呂に入ってもよいですか?
- シャワーで、石けんをよく泡立てて患部をやさしく洗い、よくすすぐのが一般的です。湯船の共用や、タオルの共用は避けてください。洗ったあとは薬を塗り、ガーゼなどで覆っておくと広がりにくくなります。
- 人にうつりますか?
- とびひは患部に触れることでうつります。患部を覆い、触ったら手を洗い、タオル・衣類・寝具を共用しないでください。皮膚が触れ合う運動や、プールは、医師の許可が出るまで控えてください。一般的な毛包炎は日常の接触で簡単にうつるものではありませんが、タオルや剃刀の共用は避けてください。
- 潰して膿を出してもよいですか?
- 自分で潰すと、炎症が広がったり跡が残ったりすることがあります。触らずに、処方された薬を使ってください。膿がたまって強く痛む場合は、対面で処置を受けるほうが早く落ち着きます。
- 髭剃りやおしりに毎回できてしまいます。どうすればよいですか?
- 刃を清潔な切れるものに替える、蒸しタオルなどで皮膚と毛をやわらかくしてから剃る、逆剃りを避ける、剃ったあとに保湿するといった工夫が役立ちます。おしりや太ももでは、通気のよい下着を選ぶ、汗をかいたら着替える、こまめに立ち上がって蒸れを減らすことが助けになります。
- どのくらいで落ち着きますか?
- 抗菌薬による治療を始めると、新しい水ぶくれやかさぶたができなくなり、患部はしだいに乾いていきます。落ち着くまでの期間は、範囲や皮膚の状態によって変わるため、経過を医師にお伝えください。良くなったと感じても、指示された期間は薬を続けてください。仕事を休む必要があるかは仕事の内容によります。療養期間は診断と症状によって決まり、最終的には医師が判断します。
このページの根拠
- 皮膚科Q&A「とびひ」(公益社団法人日本皮膚科学会)
- 皮膚科Q&A「皮膚科領域の薬の使い方」(公益社団法人日本皮膚科学会)
- 皮膚科Q&A「にきび」(公益社団法人日本皮膚科学会)
各領域の医学会公式ガイドライン、および消防庁の救急相談プロトコルをもとに、当院医師が監修しています。
最終更新日: 2026-09-28